『私はジョン・Fの愛の奴隷だった』 ミミ・アルフォード 著


興味本位で、本棚から選んだわけですが、結果から言うと、素晴らしい本でした。

最初に言っておくと、帯に書いているキャッチフレーズ「セックスとドラッグにおぼれた不倫のてんまつ」は、内容に全然合っていません。

タイトルを含め、出版社の戦略なんだろうと思いますが、この物語の著者の質の良さを汚していると思います。



これは、不倫に関する暴露本というより、ひとりの女性が懸命に生きていた道筋を、誠実につづった本です。

もちろん、そこには、ケネディという魅力的な人に選ばれたという誇り・自慢もあると思います。そりゃあそうだろう、自慢もしたくなるだろう、40年もたって、当事者はみんな亡くなっているんだから許されるだろう、というのが読後の思いです(といっても、ご親族はいらっしゃるので、その方達にとっては不愉快だろうとは思いますが・・・)。


形から言えば、もちろん、不倫です。ケネディ大統領は既婚者であり、継続的な性的関係があったわけなので。

でも、誰も、彼女(ミミ)のことを責められないと思います。この時代、ケネディから誘われて、断れる女性などいないはずです。

ある意味、「プリティ・ウーマン」のような、シンデレラ物語のようなドキドキ感があります。19歳の大学生の女の子が、ホワイトハウスに入り浸って、大統領とお風呂で遊んだり、楽しいひと時を過ごすんだから。

ケネディのプライベートな姿。垣間見る仕事の姿。多分、彼はたくさんの愛人がいて、性的欲望の解消をはかっていたのだと思いますが、それを割り引いても、彼の魅力が伝わってきて、正直惚れてしまいました(笑)


不倫を、自らの結婚という形で終わらせようとする頃に、大統領は死を迎えます。それを知った彼女の心理的動揺。そのシーンは克明に描かれていて、おそらく、彼女の中に、40年たっても鮮明に残り続けているのだろうと思います。

彼女はある意味で真面目で、知的で誠実な人柄で、ケネディとの関係を暗い物として抱えながら、その後の人生を誠実に生き続けます。


今の、ケネディ大統領への気持ち。愛する人と、墓参したときのこと。19歳の自分に語りかける60歳のミミ。最後に近付くにつれて、鳥肌が立ってくるくらい、感動しました。彼女が、幸せを探しながら、真摯に生きてきたことが伝わってきて。

女性史として、読むべきかなと思います。


2014/2

inserted by FC2 system